1.正しい通学の仕方!? その3「って、あれ〜、どうしたの〜?」 そんな状態の時、私に声を掛けてきた人間がいた。 「おっ・・・」 そこにいたのは、クラスメイトの進ちゃんこと進藤 孝宏だったりする。 「おはよう」 暑苦しい日差しもなんのそのの爽やかな進ちゃんは、科学部の副部長だったりする。 「あっ、進ちゃん。今日は白衣姿じゃないんだね・・・」 「えっ!? いくら科学部だって、登校時間まで白衣は着ませんて・・・・・・」 進ちゃんは多少面食らったらしいが、あははと爽やかに笑って、そりゃそうだという事をいう。 「まあ、でも僕は白衣姿で結構いるからねえ・・・」 ちなみに、現在、彼は飛翔綾学園の制服をキチンと着崩さないで着ている。 「そーいうこと。だから、その姿に慣れ親しんでいる私からすれば、白衣を着ていない進ちゃんというのは結構新鮮だぞ」 私はとりあえず、我ながらしょ〜もない反論をする。 でも、本当に見慣れている進ちゃんの姿は、制服に白衣を着ている姿なのだ。だから、白衣を着ていない制服姿というのはちょっと新鮮に見えるのは当然といえば当然だと私は思う。 まあ、それはそれとして・・・、 「しかし、こういう風に朝会うってことって少ないねえ・・・・・・」 ふと、思ったことをいってみる。 そういう状態だから、進ちゃんの普通の制服姿が新鮮に見えるのだ。まあ、考えてみれば当然である。(おいおい) 「確かに・・・。そういや僕が教室入る時には、猫又(私のあだ名)は誰かとボケとツッコミしているものね」 「ええっ!? そんなあ・・・・・・」 おいおい、進ちゃん。それはあんまりである。 そんな私は騒がしい人間ではないはずだ(と思う)。 「で、でも、いつもはしていないぞっ」 で、多少ちょっと控えめにいい返す。 「そう? いっつもやっているような気がするんだけどなあ・・・」 があ〜〜〜んっ!! 進ちゃんは爽やかに何気に容赦がない。 「わりと、いつも朝から元気だな〜って思うよ」 ・・・・・・。私はそんなには、朝っぱらからやってないと思うんだけどあ・・・。 しかし、あんまりにも爽やかに進ちゃんはいうのでどうにも毒気が抜かれてしまい、私は反論できにくくなる。 「し、進ちゃん。それって演劇部(速水 僚が率いる爆走演劇部)の影響じゃない?」 が、とりあえず私は正論(だと思う)をいう。 「あっ、そうかもしれない。あの演劇部の連中って元気ありあまっているからなあ」 「そこの関係者みたいなものになっているから、いつのまにか、なんとな〜く私って殺しても死なないようなキャラクターにされているような気がするんだけど・・・」 「まあ、“類は友を呼ぶ”というからねえ」 「う〜ん、諺でかえすとは・・・」 「または、“友は類を選べない”ってところかな?」 「・・・・・・」 進ちゃん・・・。爽やかに容赦ない男である・・・。 「ところで、今日は部活でもあったの? 手ぶらでこんな所を歩いているということは?」 目ざとく、進ちゃんはいう。 でもまあ、確かに通学途中に手ぶらで歩いていれば結構妙かもしれない。 「いや、進ちゃんと同じ通学途中というやつだけど?」 私は素直に答えた。確かに嘘はいっていない。 「ええっ!!?」 「う〜ん、ひょんなことで、手ぶらになっちゃったというか・・・・・・」 私はどういっていいのか困ったので、そんなことをいう。 まさか、藤崎君のバイク通学を秘密にした見返りに荷物を運んでもらったなんて、馬鹿正直にはいえない。 「でも、荷物は先に昇降口にいってるけど・・・・・・」 「・・・・・・!??」 進ちゃんは怪訝そうに私を見た。でも、説明するにはちょっと困る。 とりあえず、秘密は守るという約束はしたわけだし・・・・・・。 「まあ、とりあえず、学校に行きましょう」 私は多少強引に話を切り上げた。 と、進ちゃんいわく、 「そうなんだけど、こんないい天気だと何処か行きたくならない?」 「爽やかに結構いう人なのね・・・・・・」 「えっ、そう!?」 進ちゃんは意外な顔をする。 「あっ、でも流石にサボりませんて、ここまで来たんだし」 「そりゃあねえ」 進ちゃんは、やっぱり爽やかな人であった・・・・・・。 まあ、それはともかく進ちゃんと御登校である・・・・・・。(おいおい) そして、昇降口にて、 「あっ、なるほど・・・」 進ちゃんの一言はそれであった。 「やあ、進ちゃん」 にこやかにそこにいたのは、かくして、私の荷物もしっかり持っている藤崎君であった。 「まあ、神崎ちゃんに見つかっちゃったのよ」 で、藤崎君は進ちゃんにそういった。 というか、声を掛けてきたのは君だろ〜が。 「って、進ちゃんも知ってたの?」 と、私は進ちゃんに聞いてみる。 「実はね」 って、そ〜爽やかにいわなくても・・・・・・。しかし、これじゃあ、さっき悩んだ私の立場はどうなるんだ。 「なんだかなあ」 と思わずいってしまうのは、仕方がないと思う。 「はい、神崎ちゃん」 で、藤崎君は私の荷物、つまり通学用に使っているピカチュウの防犯ブザーがついた黒いリュックを私に返す。 「・・・・・・。まあ、何はともあれ、ありがとう」 気分はいろんな意味で複雑だがお礼をいう。 「どういたしまして」 で、藤崎君はいつもの様にクセのある笑みを浮かべた。 そんなこんなで、私達のクラスに向かう。ここまで来て、向かわないでどうするというものである。 教室に着くと、速水ちゃんに会った。まあクラスメイトだから、当然といえば当然である。そして、彼女の私にいったセリフはこうだった。 「お前、朝から男はべらして登校とは・・・・・・」 「おいっ!!」 進ちゃんと藤崎君が同時にツッコミを入れる。で、 「いいだろう? “両手に花”というものだ」 フフンとえっらそうに彼女にいってやる。二人の男の子は脱力してズッコけた。 「って、いうか何かその諺は違う気が・・・・・・・」 と律儀に進ちゃんが抗議するが、それはほっておく。(おい) 「う〜ん、確かに楽しそうだし、羨ましいかな・・・・・・」 で、速水ちゃんは大真面目に答える。 「おう、確かに楽しいぞ」 私は速水ちゃんにいってやる。と、 「・・・・・・。やっぱり猫又は教室入る時にはボケとツッコミやっている気がする・・・・・・」 進ちゃんはボソリという。 「俺もそう思う・・・・・・」 藤崎君も更に脱力していう。ついでに何気にこの会話を聞いていたクラスメイトの一部も何気に脱力していたりする・・・・・・。 なんだかなあ・・・・・・。 というわけで、こうして清々しい朝は始まる・・・・・・!? 1.正しい通学の仕方!? 終了 |